女たちの記憶 〈近代〉の解体と女性文学 岡野幸江

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 2008年4月、双文社出版から刊行された岡野幸江(1951~)の評論集。

 

目次

I もう一つの「近代」

  • 「警八風」と酌婦たち――樋口一葉にごりえ」の”こんな業体”
  • 語りなおされる記憶――福田英子『妾の半生涯』と自由民権
  • 新しい女・家からの逃走――『青鞜』の女性作家たち
  • 囚われた身体を放つ――素木しづ「松葉杖をつく女」から「三十三の死」へ

Ⅱ 戦時下から戦後への転換

  • 拡大される「共栄圈」幻想――戦時下の女性作家たち
  • 植民地の”悲しみ”――佐多稲子「台湾の旅」に描かれた少数者
  • 消された記憶、記憶する小説――平林たい子「盲中国兵」と強制連行
  • 戦後文化の牽引役――宮本百合子の評論と文化運動

Ⅲ 戦後、その断絶と連続

  • メディア時代と女の登場――有吉佐和子華岡青洲の妻』の戦略
  • 八〇年代家族の風景――富岡多恵子『波うつ土地』と”近代家族”
  • 「言葉」への懐疑――李良枝『由煕』の世界
  • 家族と民族を超えて――柳美里『家族シネマ』における解体と出発
  • 「同一性」への問い――川上弘美『龍宮』の”不可思議”

あとがき
初出一覧


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喫茶店にて 竹下彦一詩集

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 1968年4月、大地堂書店から刊行された竹下彦一の詩集。装幀は千野利雄。

 目次

著者の像 サトウサンペイ

  • 一月
  • 二月
  • 三月
  • 四月
  • 五月
  • 六月
  • 七月
  • 八月
  • 九月
  • 十月
  • 十一月
  • 十二月
  • 鐘の聴える喫茶店
  • 口・=風の喫茶店
  • 小さい幸福
  • 十二月の夜
  • 小さな喫茶店
  • 街角の喫茶店で

珈琲の香に寄せて 田中冬二
年譜
あとがき

 

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風の大きな耳 坂本つや子詩集

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 2005年7月、詩学社から刊行された坂本つや子(1926~)の第7詩集。著者自装。

 

 刻(とき)を遡って書き継ぐ連作は、自分の消えない影を踏みしめるような心もとない日もあった。バージャー病で左脚膝下十ニセンチで切断、一足先に無縁塚へ。原因不明、治療法なし、毛細血管と血液の難病とか。これを書いている私は片脚になり、車椅子に坐っている。『黄土の風』から読み返す時間があった。実感として、無器用にしか生きられなかった自分に、溜息ひとつ――。
 生きていると予想外の出来事にでくわすものだ。今回の脚の切断騒ぎはかなりこたえた。日常の行動がスムースにゆかないもどかしさ。五月のMRIでは、順調に脳は萎縮している。書けなくなることはない由。後、二冊分くらい、書きついでゆくと自分に誓ったところだ。
 なぜか吹き止まない風の中、書き出して五冊目がこの『風の大きな耳』だ。えッ?と立ち止まると十五、六年が消えていた。早すぎる。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 闇の仕事
  • ケロイドの街で
  • 出会い
  • 黄昏
  • ちいさな旅立ち
  • 母と娘の殺意
  • 広島の眠り
  • わたしの部屋
  • T君の辞書
  • 下宿の隣人
  • 来訪者
  • 母からの脱出
  • 自殺未遂
  • まぶしい道
  • 風の声

あとがき

 

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惑星までの道程 宮内憲夫詩集

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 1994年10月、砂子屋書房から刊行された宮内憲夫(1940~)の詩集。装本は倉本修。

 

人間が、一番幸せな時代が、いきなり昔話に成る時こそ、一番不幸な時代ではなかろうか。不幸と百えば、現代詩の読者が詩人だけという昨今も、不幸な時代だと思わざるを得ない。一般的に難解と言うよりも、本人だけが妙に納得している喩の羅列や、芯のない言葉だけの思想の幕を縦横無尽に張りめぐらせて、悦に入っているからだろう。作品の中から自然ににじみ出る思想が、一般読者にも直に伝わってこそ本物と言えるのではないのだろうか。大声で叫ぶのは、自作の力不足を補うためばかりで、本当に叫ばねばならぬ芯意はすでに喪失してしまっている。多弁のみで芯意を書けない詩人は死人同様であるが、世渡りだけは実にうまい。世渡り下手な私など詩人と呼ばれなくても、いっこうにかまわない。この一巻もまた、詩人より詩に無縁の人々の目に一人でも多く触れてもらえたら、この上ない喜びと思っている。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 芯音流道
  • 鬼の行く道
  • かくれんぼ残道
  • 独り道
  • 独立芯道
  • 夢道
  • 一寸のことへの道
  • のんびり道や
  • 遅れ道
  • 世紀末コンコース
  • なつかしき宙道
  • 大事回帰道
  • 冬螢の道
  • 足心道
  • 不明の旅路
  • 後世残道
  • 板さんの道
  • ぶうふら憂道
  • 沈黙する春の泉道
  • 大成長道
  • 幻の清流道話
  • 旅の終道
  • 野良犬同根道
  • 殺人未遂道
  • 理髪師の道
  • 他言無用道
  • セールス無道
  • 日本昔話恐道
  • 死語の道
  • ほむら道
  • 問われる者の道
  • まっぴらごめん道
  • 真相分明道
  • 虫のいどころ道
  • 一張羅道
  • ある、人生道
  • 運地道遠
  • 外道
  • 道草伝説
  • 母袋道
  • 現代猫鼠道
  • 問答無道
  • 世紀末道
  • 履歴書道理
  • やさしみの道
  • 曲水の道
  • 権威後道
  • 始道
  • 魂、破道
  • 待てば海路の日和道
  • 肝胆の後悔道
  • マンガ家への道
  • 道妨げ
  • 迷い語道
  • 窒息道記
  • 音便断道
  • 儂ゃ知らん道
  • 音する坂道
  • 迷える道子
  • 毋袋白道

宮内憲夫への手紙       角田清文
ぬいぐるみを着た詩人の肖像  長田大生
あとがき

 

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めにはさやかに 八木幹夫詩集

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 1998年7月、書肆山田から刊行された八木幹夫(1947~)の第6詩集。挿画は築島謙有。

 

秋来ぬとめにはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
古今集」一六九・藤原敏行

 ああ、秋がやってきたなと私の中のだれかが呟く。でもどこにもその正体は見えない。半世紀を生き、目に見えないものに突き動かされて詩を書き続けてきた身ではあるけれど、してきたことは一体なんであったろう。私の貧しい想像力はまだあの秋の、ものかなしい、けれども夏とは明らかに一線を画した爽やかな空気の気配をとらえることができていない。詩とは、いつもその一歩手前で招待を掴み損ねたるものの謂であるのか。(「あとがき」より)

 

目次

 

  • 朝の始まり
  • 野の花
  • 南方の虫歯
  • 家の外
  • アッシリア文明の階段
  • さまよえるチャイコフスキー
  • 百年後
  • ベレー帽の男と詩人
  • お話の名人
  • おおさむ こさむ
  • もうひとつの旅
  • 森の抄
  •  せり
  •  はるのもり
  •  なつのもり
  •  あきのもり
  •  ふゆのもり
  •  伝説のやま
  •  まつり
  • めにはさやかに
  • あやめ
  • 笑う海
  • ははにふれる
  • 遠い星
  • 炎、やわらかな灰

 

あとがき

 

 

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野菜畑のソクラテス 八木幹夫詩集

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 1995年7月、ふらんす堂から刊行された八木幹夫(1947~)の第5詩集。挿画は相沢育男。第13回現代詩花椿賞、第46回芸術選奨・文部大臣新人賞受賞作品。

 

 ここへ引っ越してくる以前、ほんの猫の額ほどの借地で畑仕事の真似を一四、五年したことがあった。これらの小品はその時の経験から得られた収穫物だが、大半は化学肥料による栽培だったために、ろくなものはできなかった。しかも土地は酸性化して痩せ細り、有機農法をするには経済政策が貧困で、とどのつまりは雑草との闘いに敗れ、夏の終わりには、さまざまな昆虫たちの楽園となってしまった。今、私の住んでいる空間には、ものの腐敗する匂いもなければ、夏草の草いきれもない。
 そんなわけで八百屋の店先へいくと私は懐かしい幻想につかまる。勿論私は果物を作ったことは一度もない。食後のデザートにどうだろう。五月の空に泳ぐ鯉は私の幻想を食べてくれるだろうか。
(「あとがき」より)


目次

  • だいこん
  • かぼちゃ
  • きゅうり
  • ふき
  • トマト
  • じゃがいも
  • れんこん
  • 雑草
  • パイナップル
  • バナナ
  • 枝豆
  • 隠元
  • みょうが
  • うり
  • きのこ
  • 林檎
  • あけび
  • くるみ
  • 人参
  • 白菜
  • かぶ
  • らっきょう
  • 法蓮草
  • ボイソンベリー

あとがき


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詩商物語 後山光行

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 2009年7月、粋青舎から刊行された後山光行による伴勇の評伝。

 

「詩」という表現が化石化しつつある日本の現代のなかで、単に創作活動をするだけでなく、詩人を育て、出版活動を通して「詩」を普及し、生き返らそうとしたひとりの人がいた事を記憶して置きたい。(「あとがき」より)

 

目次 

  • 回想の「詩商」伴勇
  • 伴勇の我楽多ノート
  • 伴勇のジグソーパズル
  • 伴勇 略年譜(月刊近文 誌史)

あとがき

 

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関連リンク

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