私の探照灯 木島始詩集

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1971年、思潮社から発行された、木島始(1928~2004)の20冊目の著書となる詩集。

 いつしか作品がたまってきていて、既刊の二冊いらいの作品を本で見たいというひとにも、出会うことがあり、わたしは、意を決して一本にまとめようと思った。
 しかし、量がかなりあり、じぶんの書いてきたものをじぶんで捉えてみるのも容易ではなく、わたしは思いまよって迷宮入りしたすえ、大鉈をふるって三分割し、命名して誕生させることにした。すでに出版された『もぐらのうた』(理論社)とこの『私の探照灯』と『千の舌で』(未刊)とである。
 いまわたしは、「既刊の二冊いらい」と書いたが、必ずしも正確ではない。というのはこの『私の探照灯』のなかに、前の二冊にあった作品が、まぎれこませてあるからである。わたしは、もともと完成枠や時間の区切りが好きではない。そこで、この捉えがたかった作品群のかたちを考えるさいに、敢えて詩から詩へジャンプして、時間の流れを遡行したり、飛びこえたりできるように、ひとつにつないでみた。しかし、一篇一篇については、目次によって通常の読みかたも可能になっている。このかたちを、わたしは、川西健介氏との討議の過程でえたのだが、もちろんその芸術上の責はわたしにある。かつてわたしは、六つの作品とも、一つの作品ともとれる童話の本『ぼくらのペガサス』(理論社)をつくったことがあるが、この『私の探照灯』も、三十六篇であると同時に全一篇の作品なのである。
(「あとがき」より)

 

 

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