1985年に30歳で亡くなった氷見敦子(1955~1985)の全集。思潮社から1991年に発行された。編集委員は、江森國友、上久保正敏、近藤洋太、添田馨、野沢啓。墓碑が鎌倉霊園にある。
墓標銘
「花の精」幼ないころ見た。
夢の匂いが、漂よってきます。
以下、栞に寄せられた文章から抜粋。
謹んで氷見敦子さんの霊に申し上げます。はじめて私が貴女にお逢いしました時、貴女は妖精のように、優しく、繊細に美しい姿をして現われました。そしてその差し出す「詩」はつねに鮮やかな黄金の才能を軽やかに打ち伸べたように、その輝やきはつねに私を魅了しました……(江森國友「弔辞」より)
氷見さんのお墓ができたというしらせをもらって「SCOPE」の仲間と逗子の氷見家を訪ねたのは一昨年の十二月のことだった。その折、ご両親から氷見さんの遺稿のなかから本としてはまとまらなかったエッセイ類を集めて出版したいという意向をお聞きした。それなら私たちも協力させてほしい旨を伝え、昨年の四月、もう一度うかがって未見の作品を預かってきた。その計画がこのたび全一巻の全集として実現することになった……(近藤洋太「氷見さんと『家』」より)
氷見敦子のこの詩集に収められた詩を読み返してみて、ことばというものがこの世のもの、つまり人間の現実のものなのだということを改めて考えさせられた。この人間の現実はことばでつくられているのだと改めて考えた、といいかえてもよい。ことばで語ることによって、人間の現実ではなかったものが、人間の現実のものとなる。氷見敦子の詩はそこに境界があって、ことばで語ることによってその境界がどんどんと広がって行くのを目の当りにさせているのだと思える。氷見敦子のことばの力はその境界を押し広げて力なのだ……(鈴木志郎康「生き返った力」より)
目次
[詩篇]
- 詩集〈石垣のある風景〉
- 詩集〈水の人事〉
- 詩集〈異性の内側〉
- 詩集〈パーティ〉
- 詩集〈柔かい首の女〉
- 詩集〈氷見敦子詩集〉
- 未刊詩篇
[散文]
エッセイ四十五篇
[書簡]
約百通
[日記]
約百項目
[資料]
年譜・参考文献=添田馨
解題=近藤洋太
NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索