1955年、日本未来派から発行された港野喜代子(1913~1976)の第二詩集。装幀は赤松俊子。第一詩集『紙芝居』(1952)以前の未発表のものと、1950年以降に発表された作品の中から選ばれた54の詩篇。
金魚が机の上に身を投げて乾いていた
水槽の中では、仲間達が片すみに集つて
よごれた水をかなしみ合うことばが
プチリ、プチリ私に伝わつてきた。(「序詩」より)
目次
- 序詩
- 故郷の使者
- 風車
- 失われた年の始
- 寒春
- 湖
- 春にも
- 子供三景
- 遊び場
- せんりようの実
- 仮説の日
- 紙幣
- 少年
- 地蔵祭
- のぞき
- 早春二つ
- 小鳥の日
- ほどきもの
- 二時間
- 犬
- 息
- 鳥渡る夕べの習い
- 棲家はどこに
- 熟練工と安全週間
- 波
- 母の日
- 炎天
- ルナパーク
- 一つの町
- 無法
- 日常
- 地上
- 荒野
- 魚
- 手袋
- 母の日に
- 猫とボールと子供の法則
- 創生記
- お前達に遺された祖父のうた
- 新月
- 横断
- 鼓動
- 遮断機を前に
- 夕まぐれ
- 情報
- 大都会
- つばめ
- 何も知らなかつた
- 発言
- 潮汲女の記
- 怒濤の村
- 蕎麦の花
- 沃土
- 旅装
あとがき