1993年、五柳書院から発行された清水昶(1940~2011)32冊目の著書。1988年から1993年までに発表された44の短いエッセイ。
ある時代、ある思想に、慣れあうことを、きちんと拒絶することは大変な個人的な「仕事」である。今日のゲンダイシが、ちっとも面白くないのは、(例外はあるが)ほとんどが拒絶ということにおいて血を流してはいない。観念も血を流すのだ、ということを忘れてしまっている。どうして「現在」とか「日常」とかが大切なのか。あたかも、ほろびゆく老人のように、ぼくは現在も日常も嫌で仕方がない。その嫌悪。その憎悪、その疎外が、ぼくを活性化している、まあそんな日々を過ごしている。(帯文)
目次
Ⅰ
ガリバーの質問
自然としての状況 三好達治の場合
いつも詩人は、残して死ぬ 鮎川信夫追悼
「がっかりしたか」北村太郎のニヒリズム
Ⅱ
一本のナイフ 同人詩誌その他についての若干の感想
日本人の戦争 藤井貞和へ
詩人の死 菅谷規矩雄について
Ⅲ
定型について
郷愁
死のテーマ
山頭火と酒
Ⅳ
丹下左膳
性愛について
ひとりの出版記念会
表現者たち
車椅子
病気
石原吉郎
人間の死
真実
六〇年安保闘争
売春
自転車泥棒
中原中也
火事
無頼派
絶望
幻臭
床屋
百円玉
賞
白衣
高橋秀一郎
エイズ
芥川賞
民主主義
赤穂
中上健次
ハードコア
一茶
北村太郎
実話
鬼太郎がゆく
大学