部屋 最匠展子詩集

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1977年11月、地球社から発行された最匠展子の第一詩集。

 

 この、横穴式の住居から、濁った塵芥を運びだすために深夜私はエレベーターに乗る。地上に降りつくまでの箱の中の長い時間。かたちある身辺の夾雑物を、ゴミと一緒に詰めて捨ててゆく。年月の重なりのなかで、引き換えに受取るぶ厚げな自由と、孤独を掌にして帰る。過去も未来もすべて包含した現在という一点、刹那、がすでに自己完結しているという絶対性で迫る。これしかないということは、これがすべてだ、と極めて身勝手な楽観性を背負って、過去や未来への興味を削ぎおとしてゆく。記憶喪失のように、時間の経過を捨ててしまった部屋に、ちらと永遠が顔を覗かせる。(「あとがき」より)

 

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