1965年11月、思潮社から刊行されたエーリッヒ・ケストナーの翻訳詩集。訳者は板倉鞆音(1907~1990)。
これは<Lyrische Hausapotheke>までのケストナァの数冊の詩集からの気ままな選択である。このような形にまとめて、このような見出しをつけたのも、すべては私の勝手から出たことである。
これらの訳詩はその殆んどが、かつて「カスタニエン」「コギト」その他の雑誌に発表されたものである。それをまとめて終戦後まもなく明治美術研究所の高崎正男さんの手で印刷にとりかかったのであったが、事情あって日の目を見ずにおわった。
思いがけなくも今度刊行されることになったのは、村野四郎さんのお力添えと、翻訳権をおもちの小松太郎さんのご好意によるものである。村野さんには跋文までお願いした。このお二人と、思潮社の小田久郎さんに心からお礼申しあげたく、高崎正男さんにも、ご健在ならば、ここに往年のご芳情を深く謝したい。「(あとがき)より」
目次
詩句工場
- 経歴概略
- 即物的物語詩
- 寝室靴をはいた英雄
- 裸になった男の手紙
- 真相告知
- 時は自動車を駆る
- 待ちこがれた春がきた
- 子守唄
- なぜなぜなのか
- 道徳的解剖
- 明後日の幻想
- 銀行家礼賛
- 一二〇〇メートルの高地における高貴な人々
- 操り人形の譚詩
感情の行商
- 感情の反復
- 睡眠礼賛
- 偉大な時代よりの引用文
- 卑劣の発生
- イタリーからの帰宅
- 盲人の独白
- 新記録二三
- 二三詩人の告白
- 散文挿注
- 轢かれたときの物思い
- 盗み聴いたアレゴリー
- 軍服を着た高校生
- もう一つの可能性
時間をよぎって
- 人類の発達
- 現実的アルバム詩句
- 寝室会議
- ある種の夫婦
- 発生的に見た指導者の問題
- 鉄道比喩
- ザクセン=プロイセンの境界石の銘
- ヴェルダン、多年の後
- どんなことがあろうとも
- 永遠の愛の一例
- バイオリンひきの悩み
- モラル
- 森は黙す
- 物干場との邂逅
文化の森