1950年4月、山形縣詩人協会が刊行した土谷麓の第一詩集。装幀は植物学者の佐藤正巳。編集委員は真壁仁、佐藤總石、高橋兼吉、日塔總、齋藤林太郎、井上長雄。
詩はいつの場合でも肉体の一部であつた。歓喜の時も、悲嘆の時も詩は心の奥深くに棲み、獣のように生きていた。どうして詩を書くようになつたか自分でも不可解だが、少年時代の幸福が一瞬にして破壊された青年期の生活的な激変の衝動にその根元があつたかに思はれる。(「あとがき」より)
目次
序 真壁仁
(一九三三年)黒い触手の幻影
(一九三四年)壁
(一九三五年)悲曲
誰が此の苦悶の表情を
一升買い
七月悲歌
私はもう永久に去つてゆくものは
こうあいつは言うのだ
人間と植物と小鳥
私には生活がまつ
自分を励ます詩
(一九三六年)夜
春
私は歌う
山にきて私は高らかに歌を歌つた
(一九三七年)俺を敗北者だと罵つた友よ
汚い指
たしかにあのとき
パラソル
恋
哀歌
悲歌
声
俺はお前達に言う
頽廃
(一九三八年)夢のうた
頽廃
飢える
馬
(一九三九年)裏町の子供たち
忘却
蛙
首
困惑
秘密
亡き友の歌
(一九四〇年―一九四五年)
静かな日の歌
渓谷
冬河
山歌
鳥
(一九四六年)春
公園
徒弟
(一九四七年)つくゞゝし
家系
夜吾子を抱いて
(一九四八年)心の中に悩みをもつた若い友に
(一九四九年)自然と社会と女性の精