1969年12月、飯塚書店から刊行された花田克己(1931~)の第3詩集。
この詩集は、私の三冊目の詩集である。しかし第一詩集『おれは坑夫』、第二詩集『うまい酒』の主な作品とそれ以後二年半の主な作品を一冊にまとめたものである。私の四〇年近い生涯と、ほぼ二〇年の詩作活動のひとつの決算とも言えるものである。
既刊の二冊の詩集はいずれも私が所属していた「宇部詩人集団」が発行してくれたものであり、地方での出版であった。しかしさまざまな援助によりかなりひろい反響を得たことは私にとって大きな励ましとなった。だが地方での出版という枠から免れることのできない面もあった。それだけにこの詩集は私の第一詩集という側面もあり、全国的な批判を是非するどく寄せて下さるよう読者のみなさんに切望するものである。
しかも出版される現在が、歴史的な一九七〇年闘争のさなかという光栄をになっていることに重大な責任を痛感磨るのである。いまはただこの詩集が七〇年闘争にほんの少しでも寄与できるものであってほしいと願うのみである。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- いんばん
- 坑夫の墓
- その重みから
- 坑夫の弔辞
- 風呂場
- 生きている人のように
- 虹についての便り
- あいつ
- 短詩四篇
- 坑夫の女房
- 同じ戦列の朝鮮の友へ
- えぐられる埋立地
Ⅱ
Ⅲ
- 炭鉱の鳩
- ゆき ふりかかる
- 歴史の刻印
- 国治よ ことしも大輪の菊を咲かせよ
- 秋をむかえる炭鉱
- 炭鉱から沖縄へおくる歌
- 五月の握手
- あたらしい捲きやぐら
- 闇を裂く灯
- 参観日にて
- 坑夫の汗
- 勝利の署名