1976年3月、編集工房ノアから刊行された港野喜代子(1913~1976)の第3詩集。
「紙芝居」「魚のことば」から二十年め、おそまきながらの第三詩集「凍り絵」です。
ここに束ねた作品は、年代も入りまざり、重なりあっています。日本未来派、炉、山河、詩と真実、新文学、響など、その他に発表した作品も多く割愛しました。
私にとって詩は常に、自己への問い詰めであり、情況からの切りかえしであり、暗い予感も先立つ時代との交錯です。詩を束ねるにも重い年月でした。(「あとがき」より)
目次
序
凍り絵
- その二月
- 凍り絵
- 雪の墓は
- ふぶき日記
春の巣わらに
- 冬のオブジェ
- 方角は春
- 春の巣わらに
- 草場
- 花の日に
- 棺とぶ日
- 春や春
- 機械民話
- 弔い旗の五月
記念写真
- あげひばり
- 銀婚式
- ゆきくれて
- 夕暮れを焚く
- 記念写真
- 虹になって
- まよい鳩と
- 熊手をもって
街角の詩展
- さむいにおい
- 国境
- 町は祭り
- 雨の中で
- 小鳥工場
- 五十匁のこころ
- 青の花
- 冷えを超えると
- 街角の詩展
パンの試み
- パンの試み
- 風は散らばり
- 風の手帖
- 熱い石に座って
- 幻のネックレース
- 段段のある橋に
- 冬眠
- 出発
- 再びの夜明けを
- 霧の食卓
靴は大きすぎて
- 靴は大きすぎて
- 絵日記
- 海の葬い
- 海の盆
- 八月十五日
- 昼に灯す
- お話し列車
- 春には
ウクライナの花あおく
- ウクライナの花あおく
猫は熱い魚が好きなので 小野十三郎
あとがき