1999年8月、思潮社から刊行された貞久秀紀(さだひさ・ひでみち)(1957~)の第4詩集。
昼のあかるみのなか、目をひらいたまま壁や塀づたいに手さぐりであるいてみると、見えているのになにも見えていないように感じられてくる。子どものころはそれが妙で、ふと思いだしたようにそんな遊びをしていたものである。仕草が感覚をあざむいているのに過ぎないが、ものみなくまなく見えてあかるく澄みわたる光景に、なにも見えていないという空虚が重なると、この世が在るようでないような、ないようで在るような、奥行きのある平面といったものにも思われてくる。(「後書」より)
目次
- 梅雨
- 念力
- 庭語り
- バナナ
- 写生
- 全体に並ぶ
- 葉
- 樹木を立てかけられる
- 夢
- 昼
- 水塗り
- 言葉
- 上下ちりじりの鳩
- 桜
- 体育
後書