1997年8月、思潮社から刊行された貞久秀紀(1957~)の第3詩集。装幀は夫馬孝。第48回H氏賞受賞作品。
素粒子ひとつの極小と、果てのない極大とのあいだに、空気を充満させてみる。物の理としてはかなうまいが、心象としてならたやすいだろう。この世にかぎりあるならば、それはふたつの極にはさまれたふわふわした幅のようなものであろうか。身のおきどころとはいうけれど、身もこの世にあるのなら、ふわふわしたなかに宿命sれてはまた解かれてゆくのだろう。この世に身をおきながら、身にこの世をおいてみることはたやすいであろうか。身のなかのこの世からふわふわ漂いでるものを掬いとれたら、どんなにおもしろいだろう。身のうちそとに空気を充満させて。(「後書」より)
目次
- 口語
- 帽子病
- 柳
- グループ
- 火
- 黄
- ゴム癖
- 余白コレクション
- 雨
- 血
- 母音党
- 野宿だより
- 水主
- 昼顔
- スカート
- 巣
- 二泊三日
- 豆電球式
- 空気玉
- 飴鳥
- 歯
- グリコ
- 桜
- 枠
- 発光
- 空気
後書
書評等
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