2002年9月、ふらんす堂から刊行された川口晴美(1962~)の第8詩集。装幀は君嶋真理子。
二〇〇一年三月から翌年の二月まで、私は歌人の大田美和さんとふたりで、ある試みをしていました。毎月お互いにどこかの場所(展覧会場や映画館を含む)を指定し、相手に指定された場所と自分の指定した場所、二つの空間で感覚したことをもとにそれぞれが作品を書く、というもの。いつそこへ行くか、一人で行くか同行者を伴うかは自由、ただ場所だけが(実質的には展覧会や映画いということになることも多かったのですが)その月の課題になるのでした。
ひと月に二編ずつ詩を書いていくというのを、当初、はたしてそんなことできるんだろうかと不安に感じました。それくらい本当はたいしたことない分量なのかもしれないし、もっとたくさんの詩を日々書きつづけている詩人はいくらでもいるのかもしれませんけれども、私には短編小説を二つずつ捻り出すのと同じくらい力のいることに思えたのです。(「あとがき」より)
目次
- 渋谷東急東横店屋上 骨をくわえた獣
- 神保町文銭堂地下喫茶室 午前3時・午後3時
- 新宿アルタ前 仮縫う夜
- 銀座ペーパーハウス紙百科ギャラリー raze raze raze
- 都電荒川線 一人キリ
- 新宿都庁献血ルーム 血のゆくえ
- 東京オペラハウスアートギャラリー『汚名――アルフレッド・ヒッチコックと現代武術』展 24時間サイコ
- 原美術館『イメージの首飾り』展 ディスタンス
- 渋谷東急Bunkamura ル・シネマ『夏至』 夏の息
- 渋谷から東京駅へ つめたいみず
- 日本海 リアス/リアル
- 神保町マンガ喫茶 コミック・シェルター
- タイ料理レストラン「メナムのほとり」 スコールを待って
- 旧新宿区立牛込原町小学校『セゾンアートプログラミング・アートイング東京2001生きられた空間・時間・身体』展 呼吸する水の底
- 英国伝統紅茶ケーキ博物館 みみのなかのみず
- 東京都庭園美術館『カラヴァジョ展』 空の庭
- 渋谷シネマライズ『リリィ・シュシュのすべて』 少年壊れやすく
- セルリアン・タワー東急ホテルラウンジ 交差点の幽霊
- 再び、日本海 冬の傾斜
- コンビニエンスストア 夜歩ク
- 渋谷区立松濤美術館『瀧口修造の造形的実験』展 青黒い崖の向こう
- NTTインターコミュニケーション・センター『芸術と医学』展 ボディ・インスタレーション
- 城ヶ島 Holiday drive
- 青山ブックセンター本店 インターバル
- ロイヤルホスト桜上水店 ファミリーレストラン
あとがき