1971年5月、母岩社から刊行された江森國友(1932~)の第1詩集。木版画は日和崎尊夫(1941~1992)、装幀は吉岡実(1919~1990)。
いま、ここに私の詩集が世に出ることになった。いろいろの経緯があったとしても、私には、これが時間的にも、また仕事の意味について考えても、ごく自然であったことを、喜んでいる。
これらは、時代の橋梁部をなお危っかしい足どりで歩く、私のどきどきの愛着であり、私なりの”あるべき人間と、それを包むもの”への〈信〉と、末の世に記念さるべき〈讃〉を印したいと願ったものどもである。
まとめてからあとで、「氾」の作品の多いことに気づいたが、これは必ずしも作品の価値の比重に従ったものでなく、堀川正美、山田正弘、水橋晋、三木卓ら同人の良き影響を、強く感じていることの個人的な記念としての必然と思い、そのままにした。(「あとがき」より)
目次
- 声明慈音
- (横臥した海)
- (私からの眺めは)
- (トラフラッパガニの)
- (〈アッタ〉ものの空隙)
- (《ふるえるの》)
- (自然が想像力を妨げる?)
- 花讃め
- 寓話
- 質問
- 地上
- ラセン状の村から
- 一匹でなく
- 桃李の……
- 桃始華
- たとえ太陽が……
- 杭をうつ でもやさしい黄金のやなぎで……
- 春の婚姻
- 誘われた土地
- 論語
- 細胞
- 夢のなかの娘 娘たちの夢
- 抒情詩
- 死人のうたった断片
- 回って 舞って 曲って
- 秩父古生層の旅
- 愛の生活
- 近頃の生活
- 穀物祭
- 夢の流れ
- 桜の樹のした
- 森の声
- 愛・詩Ⅱ
- 愛・詩Ⅳ
- 愛・詩Ⅴ
あとがき