1976年1月、書肆季節社から刊行された相良平八郎の第2詩集。装幀は政田岑生。第27回H氏賞候補作。
「橋刑夢飢」という詩集名は、この詩集Ⅱの作品名を適当に組み合せて、造語したもので、いまの私の心境を端的にあらわした言葉だと思っています。橋刑という刑罰があるかどうかは知りませんが、一見自由そうに思われる私達の存在は、つねにへだてられ、さえぎられ、激流に目をうばわれて、晋ことも、退りぞくこともできず、ただ橋桁にしがみついて、どんなことでも夢みることができるような錯覚におちいっています。過剰でり、粗製乱造であるが故に、私達は夢を失い、おそろしい飢餓におちいろうとしているのです。いま私達が信じることができるのは、ネガティブな思考と事物の存在であります。肯定することよりも、否定することによって、思考の正しさが成立し、存在だけが事実として確認することができ、絶望することによって、これらの影の部分がよりあらわになり、かすかな希望へとつらなっていくのです。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 風邪
- マッハ
- 結婚歌
- 頂
- 白魚
- 太刀魚
- 広島屋
Ⅱ
- 夢
- 牛
- 橋について
- 雛について
- 草について
- 刑について
- 飢えについて