1997年4月、思潮社から刊行された稲垣瑞雄(1932~2013)の第2詩集。装幀は村松秀太郎(1935~)。
ぼくに師はいない ひれ伏すべき神も 従うべき群もない だから自由に書く だが自由とは またなんと不便なものか 気がつくといつのまにか 自らに枷をはめている 音と匂いと形と色に 搦め取られていくのを知る その呪文から解き放たれようと ぼくは踠く 摑み取った言葉の はがねのような輝きだけが 唯一のたよりだ (「あとがき」より)
目次
- 雉子
- 蟻を射つ
- 鯖になった
- 牛の往く
- 鴨
- 狼の柩
- 海老と遊ぶ
- 頬白
- 馬が吼える
- 丘と銀蠅
- 魚の碑
- 斑犬
- 鰻屋は視ていた
- 小綬鶏
- 金色の鮒
- 羊のように
- 百舌
- 鰯が言った
- 虻はピアニシモ
- 海亀に聴け
あとがき