鋼鉄の足 滝口雅子詩集

f:id:bookface:20191023130004j:plainf:id:bookface:20170825004805j:plain

 

 1960年3月、書肆ユリイカから刊行された滝口雅子(1918~2002)の第2詩集。第1回室生犀星詩人賞受賞。

 

 一九五五年五月に「蒼い馬」を出してから五年たった。そのあとがきで私は、水のなかから出ていくだろうと書いて、出版記念会ではそのことがさかなにされた。その時味わつたひそかな後悔を今も忘れない。自分で自分を規定するのは、自分の手足を不自由にすることを悟つた。水の中から出ようとして、水からは出たけれど、大そう乾いた冷酷なもののなかに、のめりこんでいつたようだ。(一匹の馬)は、ただ岸に上つたにすぎなかったようだ。その源流をたどると「政治」の非情な顔がある。自分を自分らしさから遠ざけるものがそこにある。詩にはとりわけ怠惰な月日であつた。けれど怠惰ななかから生れた幾つかの詩をここに集めてみて、生活を政治的なものに近付けていた混乱の数年を、私はいま後悔していない。
 女は子供を生み育てることで完成すると思うが、私はこの本を出すことで自分の永遠の未完を証明する。 この詩集の題名になつた詩「鋼鉄の足」については、足を奪つたものへの憎しみが主にならず、喪失のかなしみが色濃いのは不本意だけれど、一つには世代的なものが原因するだろう。(「あとがき」より)

 

目次

  • 射程
  • 鋼鉄の足
  • 冷えている胸
  • 戦うアルジエリア
  • 現代の洞窟
  • 屠殺場で
  • 試みと誤りと
  • 自己喪失者
  • 文明
  • 智慧
  • 歴史
  • おかしな話
  • 食事
  • 夜と風と

  • 少女の死
  • かなしみよ こんにちわ
  • 男について
  • 男S
  • 革命とは
  • すこやかな現実
  • 水平線
  • 若もの
  • 港の対話――逃亡春
  • 小さなこと
  • 街の石だたみ
  • 小鳥
  • 言葉
  • 母について
  • ジョキジョキ切る(童話)

あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索