1939年11月、教材社から刊行された森山啓(1904~1991)の長編小説。
「北窓ひらく」では中産階級の或家の没落を、少青年の心に映して描かうとした。「笹村一家」では、既に下層の方へ落ちてしまつたインテリゲンチアの家の青年男女を描かうとした。若しこの二つの長篇の中間に、もう一つの長篇を置くことが出来たなら、出来事の上でも年代の上でも連続した三部作となつたであらうが、「北窓ひらく」と「笹村一家」とのあひだには、内容をなす出来事の上で、十年近くの年月の断岨といつたものがある。しかしこの二つの長篇だけでも、青春、恋愛、家族、生活者などの問題が貧弱ながらテーマに含まれている点で関係をもつ故、一本に収めることにした。(「後記」より)
目次
前編
- 笹村一家
- それぞれの道
- 巢立つては歸る
後篇
- 家と社會
- 靑春の裏道
- 病氣と生死
- 健康な人々
- 北窓ひらく
後記