1987年10月、書肆山田から刊行された平田俊子(1955~)の第2詩集。装画は高岸昇(1934~2000)。
ファーストキスは15の時でした。
相手は同じクラスのK君です。
その夜の交換日記に、K君はこう書いています。
「どう書いたらいいんだろう。
こんなときうまく書けたら詩人の素質があるのかな」
K君が書いた「詩人」という言葉はたいへん魅力的にみえました。
同時に、世界中の「詩人」とよばれる人たちを、私は憎いと思いました。
いまわたしは詩を書いています。
そのきっかけは15の時のK君の言葉のような気がします。
(「あとがき」より)
目次
- 火山の昼と午後
- アトランティス――神戸篇
- ドライバッテリー
- うどんの夏
- 蚊の用心
- 猫の休日
- 再放送
- 身近なミズムシ
- 九龍の寡婦
- おそかりし蒲の穂わた
- くらしの凝灰岩
- 縄に棲む鬼
- 櫂の果て
- 黒塗り
- 柳のグラフ
- ふしだらな帷子
- 系図
- 午餐
- 星の眠り、朝のシンバル
あとがき