1947(昭和22)年5月、ポリゴン書房から刊行された太宰治(1909~1948)の旧作短篇集。装幀は青山二郎(1901~1979)。
この短篇集を通讀なさつたら、私の過去の生活が、どんなものであつたか、だいたい御推察できるやうな、そのやうな意圖を以つて編んでみた。ひどい生活であつたが、しかし、いまの生活だつてひどいのである。さうして、これから、さらにひどい事になりさうな豫感さえあるのである。
巻末の「千代女」は私の生活を書いたものではないが、いまの「文化流行」の奇現象に觸れてゐるやうにも思われるので、付け加えておいた。
昭和二十二年早春 太宰治
目次
- 葉
- 列車
- I can speak
- 姥捨
- 東京八景
- みみづく通信
- 佐渡たづねびと
- 千代女
あとがき