1968年8月、地球社から刊行された財部鳥子(1933~)の第2詩集。
私のイメージは凍った土の下に埋められている死んだ友人たち(子供たち)の単純なくり返しです。彼らは死ぬことで飢えと寒さと、疫病から逃がれましたが、残っている私をそこに閉じこめてしまいました。
雨や風の日には懸命に立っている樹々に彼らを見てしまいます。他人や私の生きている可憐な子供たちや、心がはりさけるような一枚の絵にも見てしまいます。彼らがしっかりと死んでいるために、私の子供時代は不思議なオリに入れられています。(「あとがき」より)
目次
- 樹々のために
- くい木
- 詩の音
- 明けがたの夢
- 三十歳
- 凍りついて
- わたしには血がみえた
- 笛
- 暗い貌に
- 骨の手
- 仲秋の月が
- 子守唄
- 埋められる子供
- 百合をもつ聖ジョン
- 日録
- 七夕祭
- 彼女の8月
- ヴェネツィアの小部屋
- 水中の庭
- 舞踊手ヌレエフ
- 絵の時間
- 家庭教師と
- きみの棲み家
- 三月の予感
あとがき