1999年12月、思潮社から刊行された尾形亀之助(1900~1942)全集。編者は秋元潔(1937~2008)。
『尾形亀之助全集』(思潮社・一九七〇)はいま入手困難な状態にあります。三十年ぶりに増補改訂のこの全集は、詩(既刊三詩集と拾遺詩篇)、物語(夢譚・映画シナリオ・戯曲・小品)、評論(映画評・詩集評・詩評・雑感・エッセイ)、短歌・俳句、および付録で成り、明快な編集を旨とし、先の全集刊行後に発見した作品を増補しました。
作品は生きもの。作品主体に読まれることが望ましく、編註・年譜・解説を簡略にし、作品は発表年月順に配列しました。尾形作品は(本人が表記に無頓着だったようで)表記に乱れが目立ち、編集者・校正者泣かせです。先の全集は戦前の慣用表記(旧文法)基準に従い、「ママ」を送りましたが、この全集は「ママ」をへらし、尾形特有の表記――文体をいかすよう配慮しました。
(「あとがき/秋元潔」より)
目次
色ガラスの街
- 序の一 りんてん機とアルコポン
- 序の二 煙草は私の旅びとである
- 八角時計
- 明るい夜
- 散歩
- 音のしない昼の風景
- 十二月の無題詩
- 春
- 題のない詩
- 夜の庭へ墜ちた煙草の吸ひがら
- 昼の部屋
- 夜半 私は眼さめてゐる
- 煙草
- 昼ちよつと前です
- 秋
- 病気
- 寂しすぎる
- 猫の眼月
- 隣の死にそうな老人
- ある来訪者への接待
- 一本の桔梗を見る
- 昼の雨
- 曇天
- 月が落ちてゆく
- 彼は待つてゐる
- 螻蛄(おけら)が這入つて来た
- 春
- 天国は高い
- 私 私はそのとき朝の紅茶を飲んでゐた
- 私は待つ時間の中に這入つてゐる
- 春の街の飾窓
- 犬の影が私の心に写つてゐる
- 五月の花婿
- 無題詩
- 十二月の路
- 五月
- 無題詩
- 美しい娘の白歯
- 今日は針の気げんがわるい
- 女の顔は大きい
- とぎれた夢の前に立ちどまる
- 二人の詩
- 顔が
- 或る話
- 雨降り
- 秋の日は静か
- 夕暮に立つ二人の幼い女の子の話を聞く
- 一日
- 白い手
- 十一月の晴れた十一時頃
- 風
- ある男の日記
- 昼 床にゐる
- 無題詩
- 四月の原に私は来てゐる
- 馬
- 日向の男
- 昼の部屋
- 月を見て坂を登る
- ハンカチから卵を出します
- 商に就いての答
- 昼
- 無題詩
- 無題詩
- 黄色の夢の話
- 七月
- うす曇る日
- 十一月の私の眼
- 少女
- 彼の居ない部屋
- 旅に出たい
- 雨
- 蟲
- 美くしい街
- 無題詩
- たひらな壁
- 或る少女に
- 七月の 朝の
- 小石川の風景詩
- あいさつ
- 風のない日です
- 女が眠つてゐる
- 昼のコツクさん
- 夏
- 無題詩
- 夕暮れに温くむ心
- 風邪きみです
- 白い路
- 不幸な夢
- 東雲(しののめ)
- ある昼の話
- 夜の花をもつ少女と私
- 九月の詩
- 黄色の袋の中
- 雨 雨
- 年のくれの街
- 情慾
- 毎夜月が出た
雨になる朝
- 序 二月
- 序 冬日
- 十一月の街
- 花
- 雨になる朝
- 坐つて見てゐる
- 落日
- 昼寝が夢を置いていつた
- 小さな庭
- 初夏一週間(恋愛後記)
- 原の端の路
- 十二月の昼
- 親と子
- 昼
- 昼
- 夜 疲れてゐる晩春
- かなしめる五月
- 無聊な春
- 日一日とはなんであるのか
- 郊外住居
- 家
- 白に就て
- 白(仮題)
- 雨日
- 暮春
- 秋日
- 初冬の日
- 恋愛後記
- いつまでも寝ずにゐると朝になる
- 初夏無題
- 曇る
- 夜の部屋
- 眼が見えない
- 昼の街は大きすぎる
- 十一月の電話
- 十二月
- 十二月
- 夜の向ふに広い海のある夢を見た
- 夜
- 窓の人
- お可笑しな春
- 愚かなる秋
- 秋色
- 幻影
- 雨の祭日
- 夜がさみしい
- 夢
- 雨が降る
- 後記
障子のある家
- 自序
- 三月の日
- 五月
- 秋冷
- ひよつとこ面
- 詩人の骨
- 年越酒
- 印
- 第一課 貧乏
- へんな季節
- 学識
- 家
- おまけ 滑稽無声映画「形のない国」の梗概
- 後記 泉ちゃんと猟坊へ
- 後記 父と母へ
拾遺詩 初期1919―1924
- POWER
- 若いふたりもの
- 春のある日
- 死
- 題のない詩
- 一ぽんのやぐるま草
- 無題
- 昼
- さびしい路
- 初秋
- カフェーの一ところ
- 嵐のばあさん
- 手
- 颱風の日
- 酒場から
- 俺
- 酒場
- 無題
拾遺詩 中期1926―1928
- 春
- 七月
- 蛙が鳴くので月の出がおそい
- 愚かしき月日
- 馬鹿息子
- 西風
- さびしい夕焼の饗応
- 出してみたい手紙(1)
- 出してみたい手紙(2)
- 九月の半日
- 顔がない
- 大人さへ子供じみる
- 初秋
- 夜店
- PAPAとその娘
- 火鉢のある部屋
- 雨降る夜
- 蜜柑
- 青柿の秋
- 幼年
- 泣いてゐる秋
- 街風
- 月夜の電車
- 煙突と十二月の昼
- 蜜柑
- 美しい街
- 眠つてゐるうちに夜になつてゐた
- 羽子板
- 毒薬
- ガラス窓の部屋
- 十二月
- 花(仮題)
- 曇天の停車場
- 夜は凍える
- 風
- 平らな街
- 寝床と冬
- 冬日
- 落日
- 夜が重い
- 越年
- 二月失題
- 受胎
- 十一月
- 夜の部屋
- 冬無題
- 暗がりの中
- 春が来る
- 曇天の三月
- 街へ行く電車
- 蚊帳の中
- ビスケツト
- 秋、電燈
- 森の中・女・夏草
- 松の木の憂鬱
- 夜店
- 恋愛後記
- 春は窓いつぱい
- 煙草と花
- 菊
- 風の中
- 梅雨の中
拾遺詩 後期1929―1942
- 五百七十九番地
- 暗夜行進
- 無形国へ
- 辻は天狗となり、善助は堀へ墜ちて死んだ 私は汽車に乗つて郷里の家へ帰つてゐる
- 足のない馬
- 迎春失題
- 庭園設計図案(或る忘備帖)
- 又は三角形の歴史――クレオパトラ
- 風邪
- 浅冬
- 雨ニヌレタ黄色
- 大キナ戦(1 蝿と角笛)
評論(映画評・詩集評・詩評/雑感・エッセイ)1922―1939
- 其の夜の印象
- 洋画展覧会の記
- 旅をしたあと
- 詩集「兵隊」のラッパ
- 飲酒
- 牛乳屋の煙突と風呂屋の煙突
- 西暦一九二七年
- 詩集「半分開いた窓」私評
物語(夢譚・無声映画シナリオ・戯曲・小品)1926―1930
- 白い昼の狐
- 影を
- 朝馬鹿
- 悪い夢 或ひは「初夏の憂鬱」
- 彼等の喧嘩(一幕)
- 青狐の夢
- 窓
- 犬の化けもの、躑躅、雀、燕
- 電車の中で
- 話
- こけし人形
- 月と手紙
- 口笛の結婚マーチ
- B
- 硝子戸に虻がとまつてゐた
- アラン酒
- R氏のノート
- 地球はいたつて平べつたいのでした
- カルルス煎餅
短歌、俳句
- 日にのぼる
- 春の夢
- 花日記
- ふたつの命
- 平和のまつりに
- 冬
- 弦土第二回歌会詠草
- 鯉ぬすみ
- 拾遺
- 枇杷の果
補遺、資料、年譜
(補遺)
- 十一月の午後(詩)
- 昼の花
- 冬日
- 北海道の旅(小説)
- 「検温器と花」私評(評論)
- 詩集「鶴」を評す
(資料)
(年譜他)
あとがき