姉妹 畔柳二美

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 1955年5月、大日本雄弁会講談社から刊行された畔柳二美(1912~1965)の長編小説(ミリオンブックス)。解説は佐多稲子(1904~1998)。装幀は勝呂忠(1926~2010)。

 

 作品と作者との関係はいつでも切りはなせないものではあるが、「姉妹」はもつと直接的な意味で、作者、畔柳二美さんにあらわれている。「姉妹」の題材が作者の自伝的なものだという点で、そのような結果になつたともいえるかもしれないが、この作品の持味や性格というようなものが、主人公のひとり、妹俊子の性格と全く同じものなのである。この作品を貫いている生活への張り、人生への対し方、それは妹俊子のものにほかならない。俊子のやんちやな、生き生きとした言動は、また他の文章になつて、つまり作者の言葉となつて、もいちど強調される。しかもそれが独特な感受性と表現を持つている。俊子の性格や、ものの感じ方は、独特に弾んで愛すべき強靭さを示すが、それは作者、畔柳さんの文学の得意な才能そのものになつているのだ。小見出しがついて一章ずつに区切られたそのひとつひとつの挿話の中にそれは読みとれる。
(「解説/佐多稲子」より)


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