1994年4月、花神社から刊行された日原正彦(1947~)の第8詩集。装幀は熊谷博人(1941~)。
ずっと前から、男と女の会話を芯にした詩を書いてみたいと思っていました。日常的な何気ない会話のもつ、いわば「直接性」の力を信じてみたかったのです。
しかし実際書き始めてみると、会話の方へ「喩」が染みこんでしまって、直接性がすっくと立ち上がっているような会話の力が発揮されているような詩はほとんど書けませんでした。
それは結局散文の持つ特権なのでしょうか。
変な言い方ですが、詩はどうしても詩になってしまうのです。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰふたり
- いちごのその後
- あおい青
- 木が立っている
- 自転車
- 港から
- まだ
- 詩人のように
- B・G・M
- おとずれ
- 発車
- 車窓
- 空港
- そこ
- 木と夕暮
- 橋へ
Ⅱ夏の顔
- 噴水
- あいまいな朝へ
- 風の断章
- 傘
- 空
- マリア
- さよなら
- 葉っぱ
- のりこ
- 泣いている
- 夏の顔
あとがき