1970年12月、中央公論社から刊行された大谷藤子(1903~1977)の短編小説集。装幀は朝倉摂(1922~2014)。第9回女流文学賞受賞作品。
「最後の客」「再会」「流雲」は一つの主題のもので、罪と罰について書きたかったのである。
この三つの短篇は切りはなすわけにはいかないので、ほんとうなら中篇小説として一度に書きあげればよかったのだが、何分にも遅筆なので、短篇として二、三年おきに発表することになった。そのため重複しているところがあるのは、やむを得なかった。罪と罰のあとで救いを書こうとしたが、「流雲」では、そこまでにいたらなかった。
(「あとがき」より)
目次
- 最後の客
- 再会
- 流雲
- 妻の戒名
- 地の苔
あとがき