詩人の肖像 清水昶

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 1981年8月、思潮社から刊行された清水昶(1940~2011)による詩人インタビュー集。「現代詩手帖」1979年9月号から1980年11月号まで連載。写真は宮内勝、装幀は菊地信義

 

それぞれの詩人諸氏の項の冒頭の作品は、恣意的に選んだ。年代的にもさまざまで、その意味では一貫性に欠けるが、わたし自身の中で、もっとも記憶に灼きついている一篇として選ばせてもらった。この当為のない時代において、詩もまた頽落の一途を辿っているかにみえる。現に、きらりとひかる一篇の詩に出会うことは、まれになった。いったい詩人たちは何を現にかんがえているのだろう、といった疑問からこのインタビューをはじめた。みずから詩を書きながら、詩人たちと出会って、そのようなことを聞くこと自体、矛盾を感じたが、ひとりの詩人の現場を、戦後三十余年の巾で捉えてみると、実に興味深かった。ここでの詩大たちの姿は、いわば作品の裏がわから物語られたものだが、強烈な個性によって詩へと昇華される思考のプロセスが、よくみえたと思った。(「あとがき」より)

 

目次

  • 飯島耕一 詩は宗教である 人と作品「港の午後」
  • 鮎川信夫 猥雑なる理性 人と作品「戦友」
  • 正津勉 愛の地獄へ 人と作品「しんくうかん事件」
  • 長谷川龍生 テロリストの明日 人と作品「鱶と太陽」
  • 北村太郎 ゆっくり急げ 人と作品「ピアノ線の夢」
  • 吉本隆明 三島由紀夫太宰治 人と作品「少年期」
  • 中桐雅夫 戦争の影 人と作品「ちいさな遺書」
  • 金時鐘 森の宮アパッチ族の末裔 人と作品「夜」
  • 佐佐木幸綱 戦中戦後花いちもんめ 人と作品10首
  • 吉増剛造 アメリカ・アメリカ 人と作品「燃える」
  • 原幸子 美しい星はどこにある 人と作品「日没」
  • 荒川洋治 この世からの眺め 人と作品「見附のみどりに」
  • 田村隆一 われらにとって希望とは何か 人と作品「愛ってなあに」

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