1974年10月、山の樹社から刊行された江頭彦造(1913~1995)の第2詩集。
ここにおさめている作品は、まえの詩集『早春』(雄鶏社 昭25・5)を出してからの、主として詩誌『山の樹』に、昭和四十一年四月以来掲載してきたものである。とくに、『旅びと』は『日本の長編詩』(宝文館 昭43・7)に掲載されたもの、「花瓶」は「詩学」(昭45・7)に、「仏足石を見て」は、関西の雑誌「健康」に発表したものである。
大戦前後に、わたしは多くの心の友を失った。立原道造や沢西健はそのなかでも、もっともふかい心の喪失であった。その喪失をどのようにして埋めてゆくか、あるいは、新しい生の道を見いだしてゆくかが、わたしにとってもっとも大きな間題であり、その心の支えを得たいと努めた。これらの作品は、そのような心にうつった揺曳である。光をみ、美をみ、生命をみたと感じた刹那の映写である。わたしは、ここでこれらの旅の詩にひとつのくぎりをつけたい。そしてさらに新しい詩の方法をさぐってゆきたいと、いま思っている。(「あとがき」より)
目次
- 旅人
- 湖上
- 冬の銀杏
- 遊歩
- 狐
- 山中
- 仏足石を見て
- 紅欄
- 楼上
- 花瓶
- 北の海
- 海風
- 五月空
- 野の仏
- 春の朝
- 戸隠
- ひるそば
- 林のほうへ
- アオサギの森
- 白砂
- 慴伏
- 永日
- 方法
- 秋
- 箭のように
- 駒をどり
- 石神像のかげに
- 朝あけ
- 山鳩に…
- れまん湖
- 霜空
- 鳥と歩いて
- 夜の曲
あとがき