1988年11月、花神社から刊行された村山秀子の第1詩集。帯文は粒来哲蔵。
段をかけのぼり、かけおりるに似た、はやる心をおさえながら、仕事の合い間に書きつけておいたメモに向う、夜の喜びが、一日の終りを飾ってくれた。毎日その時間を楽しみにしていた。読み返すと、自分の中にある、変らないものが、みえて来た。
女は疲れて倒れるまで輝きたいものか。人柄に恋し、淋しさに恋し、本に恋し、海にも、お酒にも、旅にも恋して終りたいと思った。
胸の中の沈澱物が何かのおりか、ゆめか、ただの埃か、積った言葉が、ここに形となって、とても嬉しい。
(「あとがき」より)
目次
瞬雨
- 驟雨
- 紫陽花
- ナイフ
- 矢
- ワイン
- 熱
- 沈澱
- 酒舗縹渺
- 暗い場所
影
- 影
- 風の辻
- 風の季節
- バイオリン
- ひとりの部屋
- 三日月
- 不在
- 一粒
しみ
- しみ
- 傘
- 手話
- 夏の顔
- 鮎
- 里へ
- ねずみ
あとがき