1972年6月、不動工房から刊行された平光善久(1924~1999)の第9詩集。第23回H氏賞候補作。
明るいところから暗いところへ入っていくと、瞬間、眼の前が真っ暗になる。やがて眼が闇に馴れてくると、暗闇のなかが見えてくるようになる。真の暗闇のなかに居て、その暗闇を見つめようとして眼を凝らすと、次第にいろいろなものが見えてくるようになる。それは、現象的な色が見えるのではなく、闇それ自体が心象的なかがやきを帯びて見えてくるのである。そのかたちは、もはや現象的な意味でのかたちではなく、三次元の世界を超越し、歴史的時間を止揚したかたちとなって、現前するようである。
(「後記」より)
目次
- インドの牛
- AN INDIAN COW
- ハウラー橋
- カリー・カルカッタ
- インドの子供(1)
- カーマ
- 摩訶
- 吃る
- ベンガル菩提樹
- 黒い母子像
- ベンガルの朝
- 一パイサ硬貨
- 牛糞をねる
- 仏陀にまみえる
- 霊鷲山上に立つ
- ジャマ・マスジット界隈
- インドの太陽
- アグラの空
- アグラのランプ売り
- 阿育王柱頭獅子像
- インドの鴉
- インドの子供(2)
- ベナレスの乞食
- ヒンドゥーの天
- 死者たちの流れる風景
- インディアンレッド
- 寡婦焚死(サティー)
- ドゥルガー女神の泉
- カジュラホ眩耀
- エローラ幻想
- コナラクの天馬神殿
- 欲情するデカン高原の夜
- インドシルクの肌
- インドの壷
- 鶏と牛
- 聖牛曼茶羅
- ふるさとに向けて流れる
- においの暈
- 火のアラベスク
- 熱帯樹フロマージュ
- 東洋の裸身
後記