怖るべき子供たち 菊岡久利

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 1949年5月、日比谷出版社から刊行された菊岡久利(1909~1970)の短編小説集。校正は緒方昇、写真は池田克巳。装画は東郷青児、装幀は青山二郎。表題作は第21回直木賞候補作。

 

 これが私の、最初の小説の本だ。私の最初の小説の本のために、まるで祝祭のやうに、さまざまな好意が降り注がれたことに、大きな感動の湧くのを知る。何よりも戦後に最初に出す本でもある。
 私の最初の本は、権力哲學への批判が内容で、昭和二年、當時の尖鋭なアナキスト國軆だつた『黒色青年聯盟』の前田淳一兄が出してくれた。
『哲學の反動と哲學抹殺』(A思想協會発行)
 で、あつて哲學の特権と語彙とによつて、庶民の意欲を盗奪する、知的ボス階級に對する反逆のエッセイだつた。

 その後、
 詩集『貧時交』(第一書房
 詩集『時の玩具』(日本文學社)
 詩集『見える天使』(大観堂)
 戯曲集『野鴨は野鴨』(三笠書房
 その他、数種の編著もあるが、いづれも戦前のもので、みないまは絶版となつた。

 本物詩人山之口貘の詩の文句に、――街中が恩人だらけになつてしまう、といふのがあつて妙に忘れがたい。
(「著者雑記」より)

 
目次

  • 作者の愛と悲しみ 川端康成
  • 怖るべき子供たち―(敗戦ッ子)
  • サロメとアンデルゼン
  • いらいらする時(詩)
  • 青春捨身
  • 雨降るフィルム
  • 歯のかけた男
  • リオンの行きたふれ
  • 冬の霧

菊岡君のこと 河上徹太郎
ひとつのプロテスト 高見順

著者雑記


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