1984年8月、編集工房ノアから刊行された菅原克己(1911~1988)の第9詩集。
これは九冊目の詩集で、前詩集『夏の話』以後の約三年間の作品である。日常の報告ともいうべきものであるが、ぼくとしては、何やら瞬きするようにして、まわりの動きを視つめてきたようだ。
ぼくはいつも、手書きの原稿をコピーして、親しいサークルに出した。それからPや、新日本文学、詩学、社会新報、朝日新聞、毎日新聞などに発表した。この詩集にはそのほかの未発表の分もある。
近所のたばこ屋のおばさんが新聞を見て、「あんたの詩を読んだよ、切りぬいてとってある」と云ってくれたが、こういう人が、ぼくは大事な読者だと思っている。
(「あとがき」より)
目次
- 五月の言づけ
- 梅雨の晴れ間
- 山小屋の夜
- 海とこども
- 日にひとつの詩(抄)
- 二人の兵隊
- 朝の食卓
- 椎名町で会った人
- 散歩
- 藤井平
- くしゃみのあかんぼ
- 小さな魚
- 四月のたより
- こどもの練習曲
- ひいらぎの垣根のそばで
- 病室の人
- 丘の上の公園で
- 金子堂のおばさん
- 小さな町で
- アルバム
- 朝早く書いた詩三つ
あとがき