2010年10月、書肆クリシェから刊行された小柳玲子(1935~)のエッセイ集。
二〇〇九年六月十七日より、西日本新聞朝刊に五十日間エッセイを連載した。 この年は音楽家フェリックス・メンデルスゾーンの生誕二百年にあたり、長年メンデルスゾーンの余技であった彼の絵画作品について研究し、昂じてメンデルスゾーン画集まで作ってしまった私を励ましてくれる意図もあっての新聞社からの依頼であった。たいへんありがたく、ご厚意に応えるべく一心に、でも固くならず、楽しい読み物になるよう書き継いだ。
友人のグラフィックデザイナー直井和夫さんが、私のどんな文章にもそれとなく寄り添ってくれるよう自由な発想の挿絵で飾ってくれたのがなによりの助けとなった。一冊にまとめるにあたって、直井さんの挿絵を表紙カバーとその袖に使わせていただき、連載の記念とした。今回、随所に入れた絵や写真は新聞紙上には載せなかったものである。
文章は多少加筆したものもあり、また、ここに収録しないと二度とまとめる機会がないと思われる、別の新聞、雑誌に連載したものを十数篇加えた。
(「あとがき」より)
目次
- メンデルスゾーンの絵
- 少女雑誌再会
- 投稿よしあし
- 画廊事始め
- 魔法使いのおばあさん
- 詩の始まり
- ダッドを訪ねて
- 詩人と出会う
- 詩友 相良さん
- ヴォルプスヴェーデ
- フリーダ・カーロ
- 「詩学」終焉
- わし姫物語
- ジャン・デルヴィル
- 「ラ・メール」
- 林芙美子の詩
- 猫の画家
- ゴッホの家
- アラビアのロレンス旧居
- 黒田三郎さんのこと
- 真砂女伯母
- 長谷川兄弟
- セドリック
- 戦争の話
- アンデルセン
- サギ来る
- 古賀春江
- 夢
- ちょっと、いい美術館
- 占星術
- パウル・クレー
- 終わりに
あとがき