1984年1月、宝文館から刊行された大森澄(1914~)の詩集。シリーズ装幀は北園克衛。
私が詩を書きはじめたのは四十歳を過ぎてからのことである。それ以前は同好者達でつくった同人誌に小説を発表し、その小説が神田のM書房から単行本で出ることになり、印税の一部を契約金として前渡しされた。その素材が警察幹部間で問題になり、発行中止の説得をうけて諦めた。そして使ってしまった前払金と出版社への違約金は、上司に出費してもらい、現職中は小説を発表しないとの誓約書を出した(このことは 退職後小説にまとめて自費出版し、朝日新聞学芸欄等の書評に採り上げられた)。その後詩を書きはじめ、内緒で現職中に詩集を二冊出したが、読売・毎日・図書新聞等に採り上げられ、それが内緒でなくなったが職場での問題は起きなかった。尤も誓約書には、詩は発表しないとは書かなかった。こうして苦労して発表した作品や、その後書いたもの等をまとめてこの度宝文館にお願いし、この本を出版することになった。(「あとがき」より)
目次
ブタバコ
- ある日
- 東北出身の小娘
- ある留置人
- 下郎
- 暗い花
- 兇悪犯罪
- 保護房
- 娑婆
- 証拠品
- 留置人名簿
- 空
- 眼
- 業
- 刑事室で
- カツドンとラーメン
- 落葉
- 女
- 入浴日
- 深夜
- 春の雨
- 草履
- 盗癖
- パトロール
- 奥様お手をどうぞ
- 挨拶
- 牧歌
- 駄犬
- 交番
- 巡査長
- 花の悲しみ
- バスの中で
- 椅子
- 退職勧告
- 駐在巡査
- 救助作業
- 乞食
- 検視
- きの爺
もぐら
- 宵待草
- ひとりごと
- どぶねずみ
- のらねこ
- 虫
- 雀
- もぐら
- ほととぎす
- 不遇な仲間
- 番犬と愛犬と
- 愚者
- ぜに
- 葬式
- 墓
- 折込み広告
- 友
- やりなおしたくない人生
- 元日
- 祈り
- サイクリング
- 山桜
- 夕暮
- ある人
- 初めて来た道
- 田舎道
- どうと言うこともなく
- 眠りに陥るとき
- 文化祭
- 東丹沢
- 夕暮の匂
- 夕日
- 夏の夜
- 思い出
- 無名作家
- 年賀葉書
- どんこう
- 山道
- 汽車の窓
- 四季
- 雪が降る
- 野途
- おい、おめえ
- 夏の夕暮
- 旅路
- 一瞬
- 骨肉
故郷の墓場
古女房
- 螢
- 畠道のパトロール
- 故郷
- 布団
- 反抗期
- 公休日
- 喪服
- 城趾公園の春
- 旅
- いさかい
- 古女房
- ぐさい
- しらがぞめ
- ヘソクリ
- 死水
- 整理
- ハシゴ酒
- ほころび
- 赤ちょうちん
- 悲しみ
- 幽霊
- 妻のきものよ
- さかさま
- 退職
- 停年ヤモメ
- たび
- 仏壇
- 山里
- 凡夫の四季
- 晩年
あとがき