2011年2月、左右社から刊行された郷原佳以(1975~)のモーリス・ブランショ研究書。
目次
序論――文学にイメージは「ある」か
- 1.「語ることは見ることではない」
- 2.見ることではなく、イメージに触れること
- 3.本書の意義
- 4.本書の構成
第一部 遺骸としてのイメージ
第一章 イメージの不気味さ――「遺骸的類似」と「美術館病」
- 0.はじめに
- 1.「遺骸的類似」
- 1-1.イメージによる創造と解体
- 1-2.魔術的なもの――夢のなかで
- 1-3.『ロンドンの夜』――群衆、日常的なもの
- 1-4.美術館の病
- 2.<美術館>としての芸術作品――ブランショのマルロー論をめぐって
- 2-1.ブランショの、<美術館>論
- 2-2.アナクロニスム(1) マルロー――反美術史としての「想像の美術館」
- 2-3.<美術館>批判者たち――「美術館病」に罹った人々
- 2-4.アナクロニスム(2) ブランショ――<美術館>としての芸術作品
- 2-5.結論――「芸術の自律」とアナクロニスム
第二章 イメージの「イリヤ」――サルトル・レヴィナス・ブランショ
- 0.はじめに
- 1.「現実とその影」をどう読むか
- 2.感覚のなかでの踏み迷い
- 3.此岸への離脱
- 4.根源的な受動性――音楽としてのイメージ
- 5.ブランショの「イリヤ」――サルトルとレヴィナスの後に
- 6.根源的ミメーシス――絵画としてのイメージ
- 7.盲目的視覚の魅惑
- 8.偶像の時間――彫像としてのイメージとイメージの禁止
- 9.イメージの両義性と離脱という介入
第三章 イメージの「イリヤ」あるいはカトリーヌ・レスコーの足
第二部 言語の不可能な形象(フィギュール)としてのイメージ
第一章 プロソポンとしての形象(フィギュール)――物語とイメージ
- 0.はじめに――プロソポン
- 1.『望みのときに』
- 2.「回帰」
- 3.不可能な形象(フィギュール)
- 4.「彼女 [ele]」たち
- 4-1.具体物
- 4-2.抽象物
- 5.立っていること
- 6.演劇性と貧しさ
- 7.「際立った雲」――撞着語法としての形象(フィギュール)
- 8.疲労の語り/語りの疲労――「終わりなき対話」
- 9.なぜ疲れているのか=何があったのか
- 10.間にある対話 (entreien)――二でなく三であること
- 11.「彼女たち」との奇妙な関係
- 12.友愛――疲労の共有
- 13.疲労/語り
第二章 彼女の名、この不気味な驚異――命名行為とイメージ
- 0.はじめに
- 1.不可能な形象(フィギュール)、「ジュディット」
- 2.花から女へ、女から花へ――ヘーゲルからマラルメへ
- 2-1.言葉による殺害――花から女へ
- 2-2.言葉による深淵――猫から「猫」へ
- 2-3.弔いの花
- 3.名前、形象(フィギュール)、「ジュディット」
- 4.文学言語と神の形象――『至高者』
- 4-1.最後の「小説(ロマン)」、『至高者』
- 4-2.名前の不安
- 4-3.神の謙虚さ=神の名前
- 4-4.タイトルの不安
- 4-5.引用としての語り
- 4-6.文学言語としての「至高者」アンリ・ソルジュ
- 5.神、あるいは、言語の不治の治癒
- 6.幻の女の回帰 (revenante)
- 0.はじめに
- 1.「詩的イメージ」?
- 2.バシュラールの読者、ブランショ
- 3.「夜のように広々とした」(1)――「単純な読書」とは?
- 4.「夜のように広々とした」(2) ――詩の「構成=共置(composition)」
- 5.「夜のように広々とした」(3)――「comme」としての詩
- 6.「かのように (comme si)」としての詩
第四章「言語のショート・サーキット」としての詩のイメージ――ブランショにおけるマラルメ・ヴァレリー・ポーラン
- 0.はじめに
- 1.マラルメとポーラン、分割と橋
- 2.言語の「虚構」あるいは「マラルメの神話」――「近道で」垣間見られる潜在的言語
- 3.「詩が存在するとすれば、それは、言語が理解の道具だからである」――言語二分割の問い直し
- 4.〈貨幣=言葉〉の解釈をめぐって。
- 4-1.詩的言語と日常言語の対立――ヴァレリー
- 4-2.「詩が存在するとすれば、それは、言語が理解の道具だからである」――ブランショ
- 5.マラルメとポーランが出会う場所――「言語のショート・サーキット」
- 0.はじめに
- 1.「雄羊になること」
- 2.「雄羊のイメージ」あるいは「ジュディット」
- 3.カフカのアブラハム、あるいは「召されずにやって来るアブラハム!」
- 4.「永遠のアブラハムの問題」
- 5.形象化への焦燥(アンパシアンス)
- 6.結論――形象化のパッション
結論 文学にイメージが「ある(イリヤ)」というこの「驚異」
- 1.アルス・ノヴァ
- 2.驚異的なもの(メルヴェイユー)
あとがき
人名索引/註/参考文献