1974年2月、木犀書房から刊行された木村孝の第7詩集。
昭和四十五年の九月、私は二度目の大病に倒れた。二十五歳の時に喀血して、丁度、二十年目である。もう今度は助かるまいと思っているうちに、三年目の夏を迎えてしまった。床の中で、亀の子のように天井ばかり眺めている私は、それでも、又詩集を出したい気持になってきた。第六詩集「春宴」以後のものを、私は、床の上で、のんびりと並べてみた。自分なりに生死を越えて、たどりついた先には、やはり、詩だけが胸元にぶらさがっていた。闘病中の暗いものよりも、今は只、生きるための糧として、手もとにある詩を、順に床の上に、並べてみるのだった。
この詩集に一段の花をそえて下さった、日本詩人クラブ会長の安部宙之介氏、真鶴の前田鉄之助氏に心から感謝の意を捧げます。
(「後記」より)
目次
第一部 旅情
第二部 渇仰
- 朝
- 惜別
- 冬の池
- 波
- 桜とサイダー
- 待期
- 風を切る鳥
- 予覚
- あき
- 居所
- 手紙
- 夏の夕
- 古都
- 風景
- 朝
- 闘病
- 復活
- 立春
- 対峙
- 退院
- 渇仰
跋文 安部宙之介
跋詩 前田鉄之助
後記 木村孝