1985年10月、ジュンク堂書店から刊行された宮崎修二朗による富田砕花(1890~1984)の評伝。
目次
- はじめに 己を語ること厳しく拒む
- 酒と煙草 下戸だが濁酒愛した晩年
- スポーツ 燃え尽くす若い生命に感銘
- 文学への出発 啄木に共鳴、新詩社へ
- 砕花文学の原点 生涯通し「民意の表白」
- 旅 全国歩き、未来を見通す
- 詩の酸酵 明治末から民衆詩へ
- 母恋い 死後一年余も西空に号泣
- 校歌 社歌 風土に足つけ人びとの志を盛る
- 海へ 香住高の練習船にも乗る
- 書と民芸 権威に安住する者を嫌悪
- 伝記 他人を説明することも慎む
- 苦労 水上文学のいとなみに賛辞
- 同志 人それぞれ微妙な違い
- 人間賛美 赤裸々な人間の姿を直視
- 思いやり 画家・広島晃甫に厚情
- 金痴 金のため書かず清算貫く
- 駆け込み 寺谷崎、芥川、如是閑らとの親交
- モデル 葛西善蔵の「風聞」に登場
- 達人 具眼の士を恐れよ
- 野の少女 若い日、魂の転機もたらす
- 痛い郷愁 苦渋の思いと西域志向
- 講演と講義 随所に自由人らしさ
- 旅行計画 緊密・壮大なスケジュール
- 大陸行 国家主義を警告、清算貫く
- 山岳詩人 日本で初めて”山の詩”発表
- 挟み撃ち 時代に橋架けた民衆詩派
- 蔵書 読者が優しさの源泉
- 無言の訓え 当人の自力探究を期待
- 兵庫讃歌 命を賭けた渾身の制作
巻末付録 ラジオ関西「兵庫の百人に聞く」
富田砕花略年譜
あとがき