片山敏彦遺稿

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 1961年12月、私家版として刊行された片山敏彦の遺稿詩集。

 

 これは、父片山敏彦が昭和三十六年四月三日に東京大學附屬放射線科に入院する前後から、六月末頃まで病床で書いた歌や詩などを集めたものです。父には病名を知らせませんでしたので初めの頃は、元気になったら今度は自分自身の仕事をするのだと言い、その手はじめに日記とは別のノートをつくり、歌などを書きはじめたのです。間もなく放射線の副作用と不眠に悩まされるようになり、右半身の麻痺の徴候を自覚してからは、夜が非常に苦しい時間になったのですが、そんな時によくこのノートを擴げていました。五月のある日、前の晩につくった詩を読んで聞かせながら、退院したらまずこれらの詩を小さな本にしてお見舞に来て下さった方々に贈りたいと申しましたので、その後に日記に書かれた詩や文章をも含めてこの小冊子を編みました。中には父が発表を好まないものもあるかも知れません。また、行間や文字、句讀點などあいまいですが、そのまま載せることにしました。これをお送りすることによって、父の入院中に、そして葬儀に際して御厚情を寄せられました皆様への御禮にかえさせて頂きたいと思います。
(片山治彦、片山暁子、片山梨枝子)


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