1957年9月、小壺天書房から刊行された森田素夫(1911~1961)の短篇集説集。装幀は堀越鬼。
ここに収めた七篇はすべて私の故郷に取材したものだが、ヒロインが女中さんだということで一篇一篇につながりが出来た。戦前、戦時中、戦後と時代の移り変りにしたがって、彼女らも顔や姿態に、あれこれと化粧直しをしている。女中さんという職種は、その道の研究家にとっては好対象になり得るだけのものを持っているが、実は女性の中の一種族としてみても、大変、チャーミングな存在である。殊に、温泉の多い日本では、温泉宿に働く彼女らは、数の上からも、内容の点でも、一つの大きな社会的集団でさえある。
(「あとがき」より)
目次
- 女中交歓
- 山の湯の娘
- むすめごころ
- むしとりすみれ
- 秘曲
- 捨女と千代
- 秋怨図