1979年11月、書肆山田から刊行された岡田隆彦と高梨豊の共著。散文は岡田、写真は高梨。装幀は菊地信義。初出は「流行通信」1978年5月号~12月号。
七八年、『流行通信』誌上に、写真との組み合わせで、詩とも散文ともつかぬ小文を書きついだものに、二篇を加えて、これを一本にまとめた。わたしとって、初めての試みである。集中三篇は、ほかの写真家との組み合わせであったが、高梨豊の写真で統一することとした。――発表当時、「大都会での光と闇」は安斎吉三郎氏の、「大停電は恐怖の遅配」は操上和美氏の、「そう、雨が降っていた」は奈良原一高氏の写真との組み合わせだった。なお、「われらが優しくも柔な眼の性」は、ほんらい高梨豊写真集『人像』のために書いたものである。
(岡田隆彦「後記」より)
この共同作業は、雑誌『流行通信』一九七八年五月号から十二月号までの仕事を軸に、他のものは新らしく撮り足した。
ほとんどのものが、カガミとかカホリとかいうテーマを二人別々にスタートさせ、デッドラインで打附け合せるという方法をとっている。
詩(うた)でなく評論でない岡田隆彦独特の、この自由な文体に附合い得たのは(今にして思えば)、「都市」を共通のこころの磁場としていたからに、ほかならない。
なお、『流行通信』掲載のものはカラーであったこと
(高梨豊「後記」より)
目次
- 大都会での光と闇
- 大停電は恐怖の遅配
- そう、雨が降っていた
- 海はわれらの洞穴
- わたしたちはどこにいるのか?
- 心を黒く彫り起こす
- どこへ吹いてゆくのか
- 嗅覚は古代文化財
- もう鏡はいらない
- うぶ毛に首ったけ
- 溶けよ夢
- われらが優しくも柔な眼の性
- また、夢について、ちょっと
後記
岡田隆彦
高梨豐