1977年8月、詩学社から刊行された日原正彦の詩集。装画は諏訪莠生。
昭和五十一年九月二十二日午後四時四十八分長女麻由出生。生後四日目より原因不明の高熱を発す。医者のあらゆる治療も効を奏さず十月一日午後四時五分頭骸内に出血し死亡。麻由はわずか十日間しかこの世に生きていなかった。しかもそのほとんどが原因のつかめぬ病魔との闘いであった。薄命というにはあまりにも薄命でありすぎた麻由の冥福を祈るために彼女の墓前にこのささやかな詩集を捧げる。
(「跋」より)
目次
Ⅰ
- 芙蓉
- 氷のふる夏
- 恐ろしいあいさつ
- 春
- さびしい火事
- もちぐされの春
Ⅱ
- 痛む宛名
- 鋼の土筆
- 繁る枯木
Ⅲ
- 窓
- ふりむく
- ものいわず
- 天讃
- 絹雲
- 一日