1956年11月、角川書店から刊行された吉行淳之介の第4著作集。表紙絵は高橋忠弥。
この本は「原色の街」につづく私の第四創作集である。昭和三十年及び三十一年度の仕事の中で、主に文藝雑誌に發表した作品を選んでここに集めた。いずれもずいぶん苦労して書いた作品である。小説を書く作業は、僕にとってはいつになっても、愉しさよりも遙かに苦痛の方が大きい。唐突のようだが、初心忘るべからず、という言葉がここで頭に浮んだ。収録した作品の發表誌及び發表年月は、「悪い夏」(三十一年新潮八月號)、「梅雨の頃」(同年文学界七月號)、「夕焼の色」(三十年小説新潮十一月號)、「因果物語」(同年文藝三月號)、「決闘」(三十一年十月別冊文藝春秋)、「水族館にて」(同年婦人朝日二月號)、「斜面の少年」(同年新女苑七月號)、「重い軀」(三十年八月別冊文藝春秋)、「夜の病室」(同年新潮二月號)である。
(「あとがき」より)
目次
- 悪い夏
- 梅雨の頃
- 夕焼の色
- 因果物語
- 決闘
- 水族館にて
- 斜面の少年
- 重い軀
- 夜の病室
あとがき