2018年10月、編集工房ノアから刊行された以倉紘平の第8詩集。装画は伊藤尚子、装幀は森本良成。
九年前の二○○九年八月に、私は、三十五歳になったばかりの愛娘を肺がんでなくしました。この詩集の前半は、自分が書いたものに違いはありませんが、亡くなった娘の面影が、私のこころに、強く生きていて、私のいのちと交ざりあって、一種の共同制作のように、作品が生まれたと考えるのが正しいと思っています。
宇宙・太陽・地球。三十数億年のいとなみを蓄えたいのちは、人間の思慮をはるかに超えていて、死を生に変換する巧妙な仕組みを創ったのではないかと思います。言葉は、永生を意志するいのちが、悠久の時間をかけて作り上げた、驚くべき現象です。擬態昆虫と同じように、いのちには、宇宙の不可思議な、大いなる力が働いているとしか言いようがありません。
したがって、私は、自ら省みて遠く及びませんが、いのちから、魂から生まれた言葉を、大切にしなければと思うようになっています。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- 豊穣
- 無垢
- 詩人の留守
- 土地の名 人の名
- 午後6時――故・藤富保男氏に
- カヌーを漕ぐオンナ
- ためらいみどり―故・原子朗に
- へちまの味噌煮
- 四万十川
- 人の名
- かなしみ
- 夜学生――母親
- 遠い蛍
- 水惑星の歌――君に
- 長い眠り
- 滞在地から
- 鱒の影
- 平家物語 寂滅為楽
- トルファン出土サンスクリット語断片
あとがき
書評等
詩集「遠い蛍」 以倉紘平 (2018/10) 編集工房ノア(瀬崎祐の本棚)
以倉紘平詩集「遠い蛍」(川岸からRiversideLife)
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