1961年1月、ポプラ社から復刊された吉屋信子の少女小説。カバーは辰巳まさ江、挿絵は石井健之。底本は実業之日本社版(1940年)。
読者のみなさまに
伴先生――この作品はわたくしの少女小説をかいていた中期の作品であり、少女を愛し、また少女を愛する女学校のわかい先生に、じぶんの理想をたくしてかきつづけたもので、このなかの女学校の老いし盲いの女校長などは、わたくしの理想のなかに生きる人物を登場させたもので、いまよみかえすとなつかしい、この作品がいまの少女たちにもなんらかの意味で受けいれられたならば、それは作者の生涯にときどき受ける幸福の一つである。
目次
- とび入り先生
- 遅刻事件
- 陰謀
- 一つの信念
- 実母出現
- 父の秘密
- まだ見ぬひと
- 母のおもかげ
- 春ふたたび