夕映えの定期便 齋藤怘詩集

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 2004年10月、土曜出版販売から刊行された齋藤怘の第9詩集。

 

 読み返してみると、この詩集は世間知らずな私の『身世打鈴(シンセタリョン)』である。戦時中、せめて一冊詩集を残したいと思いつめていた二十歳、非才を顧みず詩百篇を自らに鞭打っていた四十歳、還暦を迎え風狂の道に入り、傘寿を越えて今編むこの詩集は、夜毎月と酒を酌む男の嘆き節に近い。
 せめて一冊と思っていた詩集が八冊目となり、人目にさらした詩は倍以上にもなっただろうか。時間が重層する私の詩には、半世紀以上前の風景や、私の原風景とも言える朝鮮のイメージが随所に現れて来る。現代の歴史をあまり知らない世代のために、くどいようだが、敢えて「註」を付けた。
 金光林詩人はかつて私を「半韓人」と呼んだことがあった。朝鮮半島の人と自然は、私の人生を詩とともに作り上げてしまった。掛け替えのないこの人生を、今は私の「運命(パルチャ)」として、日韓友好を切に祈るばかりである。
 カバーの写真は一九八六年、「アジア詩人会議」に出席するため、四十年ぶりに韓国を訪れた折、懐かしさのあまりバスの車窓から写した一枚で、韓国の代表的な風景である。
(「あとがき」より)


目次

Ⅰ 月見酒

  • 月見酒
  • 夕映えの定期便
  • 公園の老いたD51
  • 夏の公園
  • 焦熱地獄
  • 徘徊
  • 晩年
  • 行き交ういのち
  • 時の坂

Ⅱ 夜半に目ざめて

  • 夜半に目ざめて
  • 古時計
  • 絵本の街で
  • 切り株
  • 新緑に想う
  • 仙境の旅
  • 桜に想う
  • 箱庭

Ⅲ ああ青春 遥かなり

  • 半島の道
  • スキンシップ
  • 栄光を焼く
  • 暗い街の記憶
  • 心の友
  • ああ青春 遥かなり

あとがき


関連リンク
斎藤怘(Wikipedia)

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