一九三〇年代モダニズム詩集――矢向季子・隼橋登美子・冬澤弦

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 2019年8月、みずのわ出版から刊行された矢向季子、隼橋登美子、冬澤弦の詩集。編集は季村敏夫。装幀は林哲夫

 

 上梓のきっかけは、一冊の同人誌と映画との出会いだった。小林武雄編集の『噩神(がくしん)』創刊号で矢向季子を知った。身震いした。映画は、日本統治下の台南の詩人を描く『日曜日の散歩者』(黄亞歴監督)。台湾を襲った地震の映像のあと、同人誌『神戸詩人』が迫ってきた。西脇順三郎らの『馥郁タル火夫ヨ』から引用があり、明るさの戻った部屋で茫然としていた。「現実の世界は脳髄にすぎない」「詩は脳髄を燃焼せしむるものである。こゝに火花として又は火力としての詩がある」、わたしはあらためて、戦時下の詩をたどりはじめていた。
 同人誌と映画との遭遇が、次から次へと出会いを導いてくれた。平坦ではなかったが、みえない数珠のつながる道のり、促されるまま従った。
(「はじめに/季村敏夫」より)

 

目次

  • 矢向季子詩集抄
  • 隼橋登美子詩集抄
  • 冬澤弦詩集抄
  • 「夜の声」読後感(矢向季子)
  • 詩をよみはじめた頃(内田豊清)
  • 田豊清のこと
  • 矢向季子のこと―シュルレアリスムの目覚め
  • 隼橋登美子のこと―神戸詩人事件について
  • 冬澤弦のこと
  • 『神戸詩人』と台南の風車詩社について―石ほどには沈黙を知らず

初出一覧
関連年譜


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