1970年10月、時間社から刊行された飯田京(みやこ)の第1詩集。題名選定は北川冬彦、装幀は城所祥、レイアウトは北川多紀。
詩集をまとめるには時機がある。するとまとめにくくなる。が早すぎると空鉄砲に終わる。正直のところ、著者から詩集編纂の意図を打ちあけられたとき、少し早いのではないかと思った。作品を拝見し、私は推敲の余地があることを率直に申上げた。しかし私自身、他人から見たら推敲の余地のある詩を書いているのだろうから大きなことはいえないのである。
(「著者紹介/三好豊一郎」より)
家鴨の卵のように生みっぱなしのまま推敲もせず、放置しておいた詩を一冊にまとめるとなると、かなりの負担を感じました。
一年半程前、北川先生御夫妻から「詩集をまとめてみては......」とのおすすめをいただき、心を決めかねていたのも、そんな事情と生来の意け癖からです。とも角も詩稿をまとめ、推敲しなくてはと思いつつ、遅々として手がつきかねているうち、一年がたってしまいました。その間にも周りの用意が整っているのを知り、とり急ぎ、どうやら本の形にとりまとめることができました。
力のこもった詩は一編もなく、ただわたくしごとの孤独な生活の吐息といったものばかりです。公表するのもおこがましく、またおっはゆく感じています。
(「あとがき」より)
目次
- 花と首
- 夜の駅
- 灯
- そこだけが磨かれた地球儀
- 霧
- 歓声
- 通貨
- 蜥蜴Ⅰ
- 蜥蜴Ⅱ
- 蜥蜴Ⅲ
- 血
- 夢
- 白樺
- 墓標銘
- 立川駅
- 杜
- 某日・ニュース
- メリー・ポピンズ
- 垂れ下がった電線と……
- ひびき
- 海
- 影
- 実験室
- 虚日
- 冬
- 傘
- 顔
- 鉛筆
- 肉
- 雲
- 朝の街
- カンバスに描く
- 微温
- 書庫へ
- 影
- ホテルの露台にいて
あとがき