國鐵歌集1957 司代隆三編

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 1957年1月、国鉄歌集刊行会から刊行された国鉄労働者の歌集。編集は司代隆三。装幀は小田切恭通。

 

 国鉄のなかで短歌の制作にしたがう人たち、いわゆる国鉄歌人の数はけっしてすくなくありません。その人たちのなかには歌誌の主宰者がおり、選者、編集者がおり、あるいは歌壇の中堅と呼ばれる人、昨今短歌に手を染めた人などとりどりですが、それぞれさかんな作歌活動を営んでいることは大きな事実であります。
 そこでこれら国鉄歌人の業績を一冊にまとめて展望することも決して無意義ではなく、そのゆえに、さきに、「鉄道歌集第一集」(昭和二三年・交通労仂研究所刊)、「国鉄短歌選集」(昭和二九年・国鉄文学会刊)、機関車労組に属する人たちだけではありますが「走行粁」(昭和三一年二月・第二書房刊)などが上木されたわけですが、本書はこれらにつづくものとして世におくるものです。
 さてわたくしたち国鉄歌集刊行会は、昨秋この仕事に着手したのですが、作品の掲載は自選によらず当方において選ぶということにきめました。すなわち、最近二、三年間の国鉄労組の「国鉄文化」、機関車労組の「機労文化」をはじめとする各級機関誌、国鉄本社の「国鉄」、各鉄道管理局のリクリエーション誌及び部外の新聞雑誌等に発表されたもののなかから選出しました。
 選歌にあたっては、当然なことながら、当局的だとか組合的だとかということは念頭になく、虚心に、よい作品をと心がけました。しかし、一口によい作品といっても評価はさまざまなものゆえ、きわめて困難な仕事でしたが、とにもかくにも国鉄歌人の綜合歌集であれば、国鉄の特殊性を生かさねばならぬと考え、職場にちなんだ作品にやや重きをおいたことは否まれません。この選歌の過程では渡辺順三氏にいろいろ御意見を伺いましたが、最後的には司代隆三がこれにあたりました。
 収録させていただいた作家は五五二名、作品は二二四七首です。眼をとおした作品はおそらく一万を越え、もっと多くの作品を収めたかったのですが、紙幅の制限もあり、以上の数字に落ちつかせたわけですが、既発表のものを基礎にした関係上、発表の多かった人が比較的多く収録される結果をも生じました。したがって作品の多寡が必ずしも優劣を物語るものでないことはいうまでもありません。またあらゆる雑誌に眼をとおすことはほとんど不可能であり、そのために見落した人もありましょうし、部外誌の場合には、国鉄の人らしいなと思いながらも職場が判らぬままに見送った例もありますし、さらには、優秀な作家であることを承知しながらも、多分そこに発表されているであろう雑誌が入手出来ないままに心ならずも失礼した人が三、四にとどまりませんでした。
 仮名づかいは、作者が発表したそれによりましたが、新旧混用の人が非常に多いので、作者ごとにどちらかに統一しました。歴史的仮名づかいのなかに現代仮名づかいがいくつかまじっているような場合は歴史的仮名づかいに、その逆の場合は現代仮名づかいにしましたが、校了のいまも必ずしも十分に果しえませんでした。
(「後記」より)

 

 
目次

  • 北海道篇
  • 東北篇
  • 関東篇
  • 中部篇
  • 関西・中国・四国篇
  • 九州篇

後記
作者索引

 

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