1975年11月、サンリオ出版から刊行された長谷川龍生の第4詩集。装幀は司修。
詩集の出るときは、私にとっては大きな危機である。通俗的な死にもさらされている。作品はすべて闇のときにかかれ、生来、なまけ者なので、散逸しているものを拾いあつめるのに時間がかかった。なんとか、それに推敲をかさね、まとめたつもりでいる。
ここ十数年、怨念で人を殺すことに心を砕いた。クールに人が殺せないもどかしさと、対象を許す、許さないとの格闘の年月であった。これ以後、私は永遠の返り討ちの旅に出る。神もたぶん許さないであろう。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 道の実存
- 遙かなるアルダル
- 鉄道網の異想
- 吊橋
- 泉(ファンタン)という駅
- 狐の鼻という寒い駅
- 冬虫夏草
- 小さな赤大根の髭の町
- 路線変更
- 空から、ひもが…
- 眼下の梅
- 心の干潟
- 小さな詩をつくるたびに思う
- 遅れてきた青年
- 下北の野辺
Ⅱ
- ジュース・ハープの謎
- ヴィオラ・ダモーレ
- ブロードウェイの裏町にて
- 薬の効きめ
- 空
- 水ぎわにて
- 人と迷路
- 密壺
- 躁の気(シルフ)
- 予感
- 詩集を閉じて
- トラベルス・フレーテの刃
- 殺
- 解体の方向
- 微風に吹かれて
解説 長谷川龍生の新詩風 小海永二
あとがき