銀河系 坂野信彦歌集

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 1982年7月、雁書館から刊行された坂野信彦の第1歌集。装幀は小紋潤。付録栞は北川豊「歌集『銀河系』に寄す」。第8回現代歌人集会賞受賞作品。

 

 最初に本格的に歌集出版を企てたのは十数年前、二十二歳のときであった。失意のはてに、その歌集原稿を破りすててから、今日までいくど出版を企て、かつ放棄したことだろう。それは積木細工を組み立てては壊す、自虐的な遊びにも似ていた。今回は歌数をなるべく少なくし、しかも未発表の作品をかなり収録した。I部Ⅱ部ともに一二五首、計二五〇首。個々の作品の原作時期は十代から三十代へとひろがっているが、私としては書きおろしの歌集という気持である。しかしこれが本当に私の処女歌集となるとは、みずからほとんど信じてはいなかった。もし雁書館富士田元彦氏からの誘いかけがなかったなら、この『銀河系』も幻の歌集となってしまっていただろう。
 自慢できることではないが、私はひどく気まぐれで怠惰な歌よみである。いろいろな方がたから期待と励ましを受けながらも、私はしばしば、歌人としてのあらゆる公的な活動から逃避し、人目を避けて自分の殻にとじこもってばかりいた。この性癖は今後もあまり変わりそうにない。ともあれ、この歌集の出版が、私に向けられた過分な期待に少しでも報いることになれば、幸いである。
(「後記」より)

 

目次


後記


書評等
坂野信彦『銀河系』一九八二年(狂歌徒然草)
坂野信彦歌集 『銀河系』(やさしい鮫日記)

 

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