1995年8月、筑摩書房から刊行された伊藤比呂美と石内都によるフォトブック。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。SWITCH連載。
写真を見てとても恥かしいと彼女は言った。私でなければイイのにとも言った。写真にプリントされた像は伊藤比呂美であっても伊藤比呂美ではないのヨ、と訳のわからない返事を私はする。それでもこの本はすべて丸ごと伊藤比呂美であることにまちがいはない。自分の裸体の写真を見る、実に恥かしいと思う。ましてや30枚近くも自分自身であるのだから。他人の写真なら気楽に文句も付けられる。しかし伊藤比呂美は素直な感想をのべながら、いつの間にかハードな仕上がりに乗ってしまう。いや、もしかしたら私が乗せられたのかもしれない。だいぶ前、毛抜き詩人がいると聞き、詩は読んでいなかったがいっぺんに好きになった。それが比呂美さんとのキッカケであった。大好きな毛抜き詩人(古いですね)と共作できたことは彼女にたいする愛情が変らなかった証しである。
(「あとがき/石打都」より)
目次
- 夢みることをやめない
- 獰猛な回収犬
- ヒツジ犬の孤独
- チョウチョユージ
- 浮浪者たち
- いるか
- ユージとチョウチョ
- 人を呼ぶ、人に触れる
あとがき